「相続なんて、財産をたくさん持っている人の問題で自分にはまったく問題ない」
と多くの方は思っているのではないでしょうか?
相続は人が亡くなることにより始まります。誰にでも必ずご両親はいますので、順番通りにいけば親は自分より先に亡くなります。
つまり、「相続」はすべての人にかかわることですので、他人事ではありません。
そこで、今回は「何が大変なのか」「何が問題になるのか」「どのような対策をするべきなのか」など、相続で問題になる前に知っておきたいことを解説していきます。
相続とは、財産などの様々な権利や義務を継承することです。財産は大きく分けると2つあります。
■本来の相続財産
亡くなった人が生前に所有していた財産
(預貯金、株式、不動産など)
■みなし相続財産
本来は相続財産ではないが、亡くなることで、残された家族が受け取った財産
(生命保険金、死亡退職金など)
もしあなたがこの世からいなくなったら、誰に残したいですか?
選択肢は、以下の3つです。
国、他人、家族です。
国はどうでしょう?
日本国民の模範ですね。勲章や表彰状はもらえないと思いますが、国から感謝されるでしょう。
他人はどうでしょう?
よほどの事情が無い限り、水知らずの人に財産は残しませんね。もしそうであれば、神様扱いですね。
多分、「家族」が多いのではないでしょうか?
また、あなたの両親が亡くなった場合、相続財産は家族である自分がもらうことが当たり前と思っていませんか?
実は、相続対策をしていないと、あなたの思うどおりの展開にならないのが相続なのです。
1人っ子であれば、財産を分ける人がいないので、もめることは予想しにくいですが、兄弟姉妹がいるなど、誰かと分け合う状況の場合は、必ずもめると思って下さい。
相続財産が、自宅とわずかの預金しかない場合、平等に分けることはできないとわかってはいても、両親が亡くなった後、円満に話しあって財産を分けることが難しいからです。
なぜなら、両親が亡くなった時、子どもの教育費や住宅ローンなど出費がかさなる時期だったり、子どもが独立していても、将来の老後の生活費に不安があり、1円でも多くお金がほしいと思ってしまうかもしれないからです。
仮にそう思わなかったとしても、相続人以外の身内が権利を主張するようにアドバイスするなどして、相続人同士がもめることもあります。
これを「争族(そうぞく)」という言葉が生まれたくらい、相続でのもめごとは年々増加しています。
民法では、相続人の範囲を被相続人の配偶者と一定の血族に限定しています。配偶者と子はつねに相続の権利があります。一方、内縁関係は権利がありません。
相続の順位は、第1順位→第2順位→第3順位となっています。以下の図を見ると、あなたの財産を誰が相続するかわかります。
例えば、あなたにお子さまがいらっしゃる場合、第1順位である「配偶者と子ども」で遺産分割することになります。
あなたにお子さまがいらっしゃらない場合、第2順位である「父母」が相続人となり、財産を引き継ぎます。
あなたにお子さまもご両親もいらっしゃらない場合は、第3順位である「兄弟姉妹」となり、先になくなっている場合は、代襲相続となります。この場合、「姪・甥」に財産が渡ることになります。
実際に相続を何回か経験したお客さまが、このような表現をしていました。
「相続は津波です」と。
今まで築いてきた財産、守ってきた財産を一瞬に砕いてしまうからです。
津波は避難訓練が不可欠と同じように、相続は相続対策が必要なのです。
相続対策の3つのポイントは以下です。
1つ目の「争続対策」とは、相続が「争族」にならないためにする対策です。自宅など分けられない財産の占める割合が高い場合、生前に何等かの対応をしておかないと、あとでもめることは目に見えています。
2つめの「節税対策」とは、相続税をできるだけ低く抑える対策です。相続税がかかる場合、最低でも10%かかります。そのため、現金を生命保険にするなどの節税対策もあります。
3つ目は「納税対策」です。相続税は、10カ月以内の現金納付が原則です。納税資金を株式などの金融商品や、不動産などにしていると、換金額が不足したり、期日に間に合わない場合もあります。この場合、加入した生命保険金で相続税が払えるケースがあります。
相続はいつおこるかわかりません。3つの対策をすることで、「相続」や「相続税」対策に備えることができるのです。
多くの人は相続は他人事だと思っていますが、人は必ず亡くなりますので、相続はすべての人がかかわります。
亡くなった日に、ちょうどお金を使い切った…ということが無い限り、この世に何かしら財産を残しているからです。
一生懸命節約して資産を増やしたり、保険の見直しや住宅ローンの借り換えなどで、支出をおさえていても、いろんな努力が一瞬で水の泡になるのが、相続です。
実際に相続が起こったときに争いになりそうなことを思い描き、家族や専門家を交えながら早めに様々な対策を検討していくことが大切です。
HRB-C20180918-418